先日、中古マンションの売買決済が無事完了し、その決済完了後、売主様とお茶をしていた際に、売主様の元々のご実家が現在空家となっており賃貸で入居者を募集する方向で考えているというお話しを受けました。ただ部屋の手直しなどの費用は極力かけたくないということで「賃料を相場より下げても良いので現状のまま募集し、室内は入居者の方で自由にリフォームしてもらっても構わない」という条件で募集してほしいという相談でした。
通常、賃貸物件は所有は貸主ですので、入居者である借主では貸主の許可なしに部屋の補修などは行えません。万が一、貸主の許可なしに補修をしてそのことが原因でトラブルが発生しても借主の責任となり、逆に貸主側から原状回復費用の請求を受ける可能性もあります。
しかし、借主側で部屋を改装することができ、基本的には原状回復しなくてもよいという賃貸借契約も徐々に増えてきており、このような物件を「DIY賃貸物件」といいます。この度の売主様からの相談はこれに当たりますので今日はこの「DIY賃貸物件」についてお話したいと思います。
国土交通省は、近年問題となっている空家対策、そして賃貸住宅の流通促進の一環として、DIY型の賃貸借を促進しています。もちろんトラブル防止のためのルールも作成しています。
詳細については「DIY型賃貸借のすすめ」のガイドブックをご参照下さい。
DIY賃貸のメリット・デメリットについてですが、貸主・借主双方にメリット・デメリットがあります。
まずは貸主側のメリット・デメリットについてです。
【貸主のメリット】
・事前に修繕する必要がない。
・賃貸中でも入居者(借主)で修繕してもらえる。
・入居者(借主)が自分で修繕するので、長期間の入居が見込める。
【貸主のデメリット】
・入居者(借主)の好みでリフォームされるので、退去した場合、次の入居者が見つかりにくい可能性がある。
・設定賃料が相場より安くなる。
次に借主側のメリット・デメリットです。
【借主のメリット】
・原状回復の費用が取られない。
・自分好みにリフォームすることができる。
・賃料が相場より安く借りられる
【借主側のデメリット】
・修繕のやり方によっては、予想以上に費用がかかる場合がある。
・賃料が安くても、後のメンテナス費用に高くつくことがある。
・DIYで行うので不具合や安全性の不安がある。
以上が貸主・借主双方におけるDIY賃貸におけるメリット・デメリットといえるでしょう。
何事も最初の契約が肝心となります。入居者(借主)がDIYするにしても契約時にDIYできる範囲を明確にしておくこと、原状回復なしであればその旨を特約に記載するなど、最初にルール作りをしておかないとトラブルの元になりますので、しっかり内容を把握した上で契約するようにしましょう!
最後に、DIY型賃貸というのは海外では比較的当たり前のように行われているようです。しかしながら日本国内に目を向けるとまだまだ定着しきれていないように思います。私もオーナー様とお話ししていて、需要が少ないだろうという判断でDIY可能で賃貸募集というのは反対していました。しかし、まだ定着しきっていない今だからこそチャンスだと切り替えオーナー様の提案を受け入れることとしました。
私自身も今回のお話しで、勉強させてもらう良い機会になったと思い今後の提案事項の一つとしてお話しできるよう努めて参りたいと思っています。
尚、今回相談を受けた対象物件については、諸条件など詳細が決まっておりませんので決まり次第、当社ホームページでお知らせ致しますので、いましばらくお待ち下さい。