特定居住用財産の買換え特例について

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2020年08月13日

特定居住用財産の買換え特例について

自宅を売却し、売却利益が発生した場合に譲渡所得の支払いがありますが、この所得控除のお話しとして、「3,000万円特別控除」「所有期間10年超の居住用財産を譲渡した場合の軽減税率の特例」の2つについてはこれまでにお話しさせて頂きました。
 

今日はその3つ目のお話しとして「特定居住用財産の買換え特例」についてお話ししたいと思います。

特定居住用財産の買換え特例とは?

特定居住用財産の買換え特例とは、自宅を買い換える時に、売却した自宅の売却利益に対して課税される住民税・市民税を次の売却まで先送りにしてくれるという特例です。
 

また、この特例を適用するには売却利益より買い換えた自宅購入価格の方が上回っている場合において適用可能です。
  

【例】
1,000万円で購入したマイホームを5,000万円で売却し、7,000万円のマイホームに買い換えた場合には、通常の場合、4,000万円の譲渡益が課税対象となりますが、特例の適用を受けた場合、売却した年分で譲渡益への課税は行われず、買い換えたマイホームを将来譲渡したときまで譲渡益に対する課税が繰り延べられます。図で表す下記のようになります。

  • 出典:国税庁HPより

特定居住用財産の買換え特例の適用条件

特定居住用財産の買換え特例の適用条件についてですが、売却する自宅、購入した自宅にそれぞれ条件があります。
 

【売却する自宅】
 

①自分が住んでいる家屋である。または、住まなくなってから3年後の年の12月31日までに売却する家屋である。
 

②夫婦・親子など特別の関係がある人への売却ではない。
 

売却の前後2年間に以下の特例を受けていない。
 1.住宅ローン控除
 2.3,000万円特別控除                              
 3.自宅を売ったときの軽減税率の特例                       
 4.自宅の譲渡損失についての損益通算及び繰越控除

 

④売主の居住期間が10年以上である。
 

⑤売った年の1月1日において、売却した家屋・敷地の所有期間が共に10年を超える。
 

売却金額が1億円以下である。
 

令和3年12月31日までに売却した家屋である。
 

 

【購入した自宅】
 

①建物の床面積が50㎡以上、土地の面積が500㎡以下である。
 

②前の住宅を売却した年の前年から翌年までの3年間に買い替える。
 

③売却した年かその前年に購入したときは、売却した年の翌年12月31日までに住み始める。売却した年の翌年に購入したときは、購入した年の翌年12月31日までに住み始める。
 

④耐火建築物の中古住宅である場合には、築25年以内である。または一定の耐震基準を満たす。
 

 

以上が、特定居住用財産の買換え特例の適用条件となりますが、売却する場合は期間が決められていたり、これまでお話しした3,000万円特別控除などとは併用ができないので注意が必要です。

特定居住用財産の買換え特例の利用は少ない!?

特定居住用財産の買換え特例については、実際利用しているというケースは少ないと思われます。
 

なぜなら、例えば売却利益が4,000万円出たとしましょう。そうすると3,000万円特別控除を利用すれば3,000万円分は非課税となります。そして残り1,000万円については、所有期間が10年を超えていれば、所有期間10年超の居住用財産を譲渡した場合の軽減税率の特例の併用が可能なため、課税される1,000万円分の税率が軽減されますので、支払う税金もかなり抑えることができます。                         しかし、特定居住用財産の買換え特例は非課税になるわけではないので、4,000万円に対して税金を支払われなければなりません。あくまで支払いを先送りにしましょうという制度になるため、税金を抑えるための制度ではないといことなのです。
 

以上のことから、特定居住用財産の買換え特例の利用する頻度が必然的に少なくなると考えてよいでしょう。

いかがでしたでしょうか?
 

自宅の売却で利益が出た時、どの特例を利用するのかは千差万別です。逆に自宅の売却で損失が出る場合もあり、損失に対しての特例もありますので明日以降にお話ししたいと思います。

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